Fate / in the world

028 「VS 衛宮」 後編


「ん?」

 朝……か、って言うか、何処なんだここは?
 見慣れない天井を見上げながら、窓から差し込む朝日に無事夜を越せた事を知った。
 ああ、なるほど、教会か。
 きっと、凛とアルトリアが俺を運び込んでくれたんだな。

 左腕は……感覚は戻ってきたけど、ずしんと痺れが残ってるな……
 そう思いながら自分の左腕を確認しようと……

「……」

 あ〜、落ち着け、俺。
 考え得る可能性を精査し、最も高いだろう可能性を選択するべく思考しろ! って、出来るかぁっ!!

「アルトリア……」

 俺の左腕に抱きつくようにして眠るアルトリアに声をかける。
 そりゃ痺れもするよな……左腕に全体重乗っけてんだから。
 しかも……薄い掛け布団のお陰で見えはしないが……この感触って、お前……下着姿だろ……

「……う、ん……あ、おはようございます、シロウ」

 俺の呼びかけに薄く目を開き、こちらに顔を巡らせながら朝の挨拶を……って、コラ!
 俺の手を太股に挟むんじゃないっ!

「あ、ああ……おはよう、アルトリア。で? どうして俺は君と寝ているのだろうか?」

 可能な限り冷静に聞いてみる。
 ここで下手に慌てると、この非常事態を収拾する前にあかいあくまに嗅ぎ付けられてしまう。
 うん、それだけは何としても回避しなくちゃな。

「ああ、悲しいわぁ〜。あなたのお父さんは、わたしとあなたを捨てて、金髪美人と浮気したのよぉ〜」

 部屋の入口には、自分のお腹に手を当てながら、そんなとんでも無い事を言うあかいあくまが。
 居たのかよ、最初から……





Fate / in the world
【VS 衛宮 後編】 -- 最強の魔術使いの継承者 --





 確実に一波乱あるなと思っていた朝の目覚めは、意外にもすんなりと収まった。
 切断した俺の左腕の回復を少しでも早めるために、一晩中アルトリアが密着していたらしいのだけれど、それは凛も承知の上での事だったからだ。

「あのな凛……承諾の上ならば、あの様な事を言うのは止めたまえ……胎教に良くない」

 生まれた時から、父親の事を汚物でも見るような眼差しで見る子供になったらどうするんだ、まったく……
 そんな事を心配しながら、凛が用意してくれていた朝食を三人でとり、至極当然の抗議をぶつけてみる。

「あら、ちゃんと父親なんだっていう自覚はあるのね?」

「君な……当たり前だろ、俺が愛しているのは凛だけなのだから」

 という俺の言葉に顔を赤らめる凛。

「ああ、悲しい事です。貴方の父君は、私と貴方を捨て、正妻の元へと戻ってしまいました……」

 トーストをハムハムと食べながら、自分のお腹に手を当て、そんなとんでも無い事をシレっと仰る王様……
 あのなぁ、アルトリア……正妻ってなにさ……俺は側室持った覚えはないぞ!

「「……」」

「か、軽い冗談です! コホンッ! そんな事よりも……おめでとう、シロウ、凛。お二人に授かった新たな生命に祝福を」

 自分で自分のした事が恥ずかしかったんだろうなぁ……
 それはともかく、誤魔化しの咳払いと共に俺たち二人に微笑みかけながら、彼女らしい祝辞を贈ってくれた。

「ああ、ありがとう、アルトリア」

「うん、アルトリア、ありがとう」

 だから俺も凛も、最高の友人に心を込めて"ありがとう"を返した。

「しかし……今から楽しみです。シロウと凛の子なのですから、きっと愛らしい素直な子供に間違いありません。是非、この手に抱かせて欲しいものです」

 瞳をきらっきら輝かせながら、未来図を妄想……もとい、想像するアルトリア。

「そうね、何かと忙しいでしょうから、アルトリアに育児を手伝ってもらえれば、助かるわ」

 そう言いながら、フルーツを食べる凛。
 そう酷くは無いらしいのだけれど、やはり悪阻のせいで食欲が無いらしい。

「そう言えば……もう、名前は決めているのですか?」

 とアルトリアが俺に向き直って訊ねてくる。

「いや、流石にまだだ。昨日知ったばかりだからな」

「なるほど……でしたら、もしも男の子ならば"アーサー"という名は如何でしょうっ!」

 さっきよりも瞳をきらっきらさせて、名付け親に名乗りをあげる王様……
 アルトリア、気持ちは嬉しいんだけどな……正気か?

「……どっかの芸能人じゃないんだから……"衛宮アーサー"ってのは、ちょっとねぇ……」

 苦笑を浮かべながら、そう俺に振ってくる凛。
 って言うかだな……

「"衛宮"なのか? "遠坂"ではなく?」

 てっきり"遠坂"を主張すると思ってたんだけどな。

「ん? だって士郎の魔術を残すことが出来れば"衛宮"の家を興すには十分じゃない? だから"一人目の子"には"衛宮"を継がせて、将来は"遠坂"門派の眷属にするのよ」

 "今更何言ってんのよ、当然でしょ"というような顔で、未来の魔術界支配構想をぶち上げるあかいあくま。
 それと……さらっと"一人目の子"って言ったよな、今……
 まあ、あまり突っ込まないようにするほうが良いな。主に俺のために。
 それよりもだ……

「……そうか。なら、こういう事はきっちりとケジメをつけるべきなのだろうな。若干順序が逆になってしまったが……凛、俺と結婚してくれないか? いや……君と結婚したい、俺の想いを受け入れてくれるか?」

 気負うこと無くありのままの想いを吐露した。
 衛宮士郎がこの世界でただひとつ欲した存在に。

 俺の言葉を聞いた凛は、まっすぐに俺を見つめながら、少しの沈黙の後……

「……一つだけ……約束して欲しい事があるの。どんなに遠回りしてもいい。だから……わたしが愛する衛宮士郎という存在を、あなた自身も好きになるって約束して」

 それは……いったいどれだけの想いと愛情が込められていた言葉なのだろう。
 きっと、一生かかっても返し切れないほどの愛情を受け取ったんだろうな、俺は……

「ああ……約束だ、凛」

 そう言って俺は凛を抱き寄せ、そっと顔を寄せながら……

「それはそうと……ルヴィアゼリッタは知っているのですか? この事を?」

「「あっ……」」

 絶妙なタイミングで投げかけられたアルトリアの問いに、絶句した。







 朝食後、俺がディーロ神父に頼み事をしている間に、凛がルヴィアさんへと連絡を入れていた。
 アルトリア曰く、

『携帯電話からガンドが飛び出すかと思いました』

 と言う状況だったらしい。
 うん、その場に居なくて良かった……

 で、今俺が何をしているかといえば……俺の頼みを快諾してくれた神父さんに、準備ができたと言われたので、二人を呼びに来たわけだ。

「凛、アルトリア、悪いが俺について来てくれ」

 俺の呼びかけに、きょとんとしながらも付いてくる凛とアルトリア。
 本当は、それなりに盛大なものをしてあげたいのだけれど……
 そんな事を考えながら、二人と共に祭壇の間へと到着し、その扉を押し開ける。

 普段にも増して厳かな空気に満ちたその空間。
 祭壇の前には、ディーロ神父が聖書を手に俺達を待ってくれていた。

「あの……士郎?」

 突然のことに驚きながら、俺に問いかける凛の手を取り、

「ディーロ神父に頼んだのだ、結婚式を挙げてくれとな。だが……すまない、凛。本当なら君のように華やかな挙式を用意すべきなのだが、この状況ではな……」

 凛に謝辞を表した。
 男としては、不甲斐ないけど……でも、凛を想う気持ちだけは世界中の誰にも負けない事を誇りにしよう。
 そんな俺の言葉を聞いた凛は俯いて、

「ばか……」

 と言いながら、宝石のように綺麗な涙を零した。

「凛、婚儀の場に涙は似合いませんよ。それに……この騎士王アーサーが見届人となろう。シロウ、それでもこの婚儀に華が足りないと?」

 凛の涙を優しく拭ったアルトリアが、一転、王の威厳を持って宣言する。
 それは、円卓の騎士を纏め上げ、ブリテンを統べた伝説の王そのものだった。

「ふむ……どうやら俺の失言だったようだな。ならば訂正しよう。凛、君のために、伝説の騎士王が見届人を買って出てくれた、この世にまたとない式だ。気に入ってくれるか?」

「ええ……勿論よ。ありがとう、士郎、アルトリア」

 そして、俺達の結婚式が始まった。
 ディーロ神父が朗々と読み上げる聖書の一節。
 その中、参列者は見届人としての伝説の騎士王と……凛がポケットから取り出した一枚の写真。
 それは、聖杯戦争が終わってしばらくしてから、何気なしに撮った俺の家族の記憶。
 衛宮邸の門前で、俺と凛とアルトリア、それに……藤ねぇと桜も笑顔で写っていた。

「衛宮士郎、貴方は遠坂凛と結婚し、その健やかなときも、病めるときも、常にこれを愛し、これを敬い、これを慰め、これを重んじ、これを守り、その命の限り固く節操を守ることを誓いますか?」

「ああ、誓おう!」

「「……」」

 ディーロ神父の誓約の言葉に俺が答えるよりも早く、微妙に声色を真似た凛が答える。
 あのなぁ……

「凛さん、この神聖なる場に、おちゃめは、おちゃめは必要ないのですよ?」

 あ……今、二度言ったな、神父さん……

「……二度言いましたね……」

 アルトリアもそう言いながら、ディーロ神父の笑顔にたじろいでるし……

「あ〜、ディーロ神父。今の宣誓、最後をこう改めさせていただきたい。"その生命が尽きるとも、未来永劫に固く節操を守ることを誓う"とな。そして、その宣誓ならば、神と伝説の騎士王に誓おう!」

 場を引き締め、俺の本心からの宣誓を行う。

「それでは、遠坂凛、貴方は衛宮士郎と結婚し、その健やかなときも、病めるときも、常にこれを愛し、これを敬い、これを慰め、これを重んじ、これを守り、その命の限り固く節操を守ることを誓いますか?」

 今度は凛への宣誓の言葉。
 それに凛は、

「わたしも、"その生命が尽きるとも、未来永劫に固く節操を守ることを誓う"と変えさせて頂きます。そして、神と騎士王アーサーに誓います」

 と、厳かに宣誓した。

「二人の誓い、この騎士王が確かに見届けた!」

 アルトリアの宣言に続いてディーロ神父が、

「指輪の交換を」

 と促す。
 俺は、自分の首に下げていたミニチュアの干将を外し、凛へと手渡す。
 同じように、凛も自分のミニチュア莫耶を俺へと手渡す。

「この二人に神の祝福のあらんことを」

 最後にディーロ神父が俺達の口付けに神への祈りを与えてくれた。

 その瞬間、教会入口の扉が開かれ、全身血に塗れたミス・マクレミッツが転がるように教会へと入ってきた。
 それは、俺達の式の終わりと戦いの再開を意味していた。







 かなりの重症だけれど、急いで手当をすればまだなんとかなる筈だ。
 ミス・マクレミッツへと駆け寄り、傷を解析する。
 良かった、起源弾を撃たれたわけじゃなさそうだな。
 彼女の治療をディーロ神父に頼み、自身の思考を戦闘モードへと切り替える。

 入り口の扉の向こう側。
 あからさまに二人の存在を示すがごとく、その魔力を隠そうともしていない。

「居ますね、カミンスキーとキリツグです」

 武装化したアルトリアが睨みつけるような眼差しで、扉の向こう側へと視線を送る。

「そうね、これだけあからさまって事は……まあ、何か仕掛けてるんでしょうね」

 アルトリアに答えるように凛が呟く。

「ああ、奴等は完璧に自分達が勝利し得る状況を作りだしてから仕掛けてくるタイプだからな。このままぶつかれば前回と同じ轍を踏む事になるだろう。そこでだ……今回はこちらの土俵で戦わせて頂こう。アルトリア、合図と共に切嗣へと斬り掛かってくれ。他には目もくれず、固有時制御を使われても、君の直感を信じて間合いを離さずに攻め続けるんだ。それから、凛。絶対に魔術を使わないでくれ。たとえどんな事があってもだ。それともう一つ、絶対に此処を動かないでくれ。そうすれば、俺が君を護り抜く。今回の勝負は一瞬だ。聖杯戦争の基本を持って必ず勝つぞ。二人共良いか?」

「はい、シロウ」

「ええ、あなたを信じるわ、士郎」

 二人の覚悟を見て取り、必ずこの二人を護り抜くことを誓う。

 この戦い、もしも切嗣一人で攻めて来られたなら、迷わず撤退を考えた。
 けれど、カミンスキーが一緒に現れたということは……そこに活路が存在するはずだ。

 さあ、どんな仕掛けをしたのか知らないが、全て御破算にさせてもらおうか。
 今回の舞台は……俺の世界だ!

――I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)――

――Steel is my body,and fire is my blood.(血潮は鉄で、心は硝子)――

――I have created over a thousand blades.(幾たびの戦場を越えて不敗)――

――Unaware of loss.(ただの一度の敗走も無く、)――

――Nor aware of gain.(ただの一度の勝利もなし)――

――Withstood pain to create weapons.(担い手はここに孤り)――

――Waiting for one's arrival.(剣の丘で鉄を鍛つ)――

――I have no regrets.This is the only path.(ならば、わが生涯に意味は不要ず)――

――My whole life was "unlimited blade works".(この体は、無限の剣で出来ていた)――

 固有結界(リアリティー・マーブル)の詠唱完了と共に、世界が上書きされ無限の剣を内包した紅い丘が広がる。

「はぁぁぁ――っ!!」

 それと同時に最大戦速を持ってアルトリアが切嗣へと斬り掛かる。
 そのタイミングより刹那前、トンプソン・コンテンダーが俺たちへと向けて起源弾を発射する。
 中空で交差するように、すれ違うアルトリアと起源弾。
 その標的は、それぞれ切嗣と凛。
 つまり、起源弾は凛の前に立つ俺へと向かってくる。
 そして、今、俺の手には剣ではなく、鞘。
 護る、護り抜いてみせる!

「"全て遠き理想郷(アヴァロン)"――!!」

 手にした鞘の真名を開放し、最強の結界宝具を展開する。
 全ての物理攻撃を弾き、五つの魔法すら遮断するその鞘の能力は、完全独立として作用するため、起源弾の効力からも使用者を遮断する。
 最強の結界に起源弾が弾かれるのとほぼ同時に、アルトリアが切嗣へと斬り掛かる。

Time alter(固有時制御)――double accel(二倍速)!」

 アルトリアの突進を認識した瞬間に、固有時制御を発動させた切嗣が、その姿を消すが如くに斬撃を躱す……けれど……それを予知の域に達した直感で追撃するアルトリア。
 結果、この僅か一秒にも満たない攻防によって、切嗣はカミンスキーの傍を離れざるを得なくなった。
 ここに俺の勝機がある! 対サーヴァント戦の基本はマスターを狙うことだっ!

 瞬間、紅い丘に突き刺さっていた無限の剣群が、一斉にカミンスキーへと向かって射出される。
 その数は、ゆうに百を超えていた。

「ッ?!」

 防御も躱すことも不可能な程の剣群を前に、為す術の無いカミンスキー。
 同時に響く、切嗣の詠唱。

Time alter(固有時制御)――triple accel(三倍速)!!」

 更に己の時間を早め、カミンスキーを庇おうと、剣群の前に立ち塞がる切嗣。
 ああ……きっと切嗣ならそうするだろうと思ったさ。
 つまるところ、いくら目に見えないほど早く移動できたとしても、辿り着く場所とタイミングさえ予め解っていれば、対処などいくらでも出来るのだから……

 カミンスキーの前に現れた切嗣に対して、剣群を破棄すると同時に俺はタイミングを合わせて突進し、手にした剣を突き刺す。
 俺の剣を目にしたアルトリアは、その意を汲みカミンスキーへと威嚇の剣閃を落とし、切嗣との距離を離してくれた。
 そして、俺は手にした剣の真名を開放する。

「――"破戒すべき全ての苻(ルール・ブレイカー)"!」

 それは全ての魔術的契約を破棄する歪な短剣。
 サーヴァントとマスターの契約すら破棄するその効力は、カミンスキーと切嗣のラインを切断し、令呪の縛りから切嗣を開放した。

「そんなっ! キリツグ、キリツグッ!!」

 半狂乱のように切嗣を呼ぶカミンスキーに、

「貴女にキリツグの傍に居る資格は無い! ここで倒れろ!」

 アルトリアが追撃の剣閃を叩き込む。
 同時に中を舞う、切断された右腕。
 己の右腕と引換に、かろうじて間合いを離したカミンスキーは、

「許さない、絶対に許さない!! よくも私のキリツグをっ!! 絶対に復讐してやるぞ……例え悪魔に魂を売り渡してでも、絶対に復讐してやるっ!!」

 狂気の容貌で呪詛の言葉を吐きかけながら、姿を消した。







「士郎、強く、なったね……」

 それは、俺が覚えている懐かしい切嗣の表情で囁かれた……

「そうでもないさ……切嗣には勝てないよ……」

 恐らく、不完全なサーヴァントとして現界したせいだろう。
 切嗣の体はすでに、第五架空元素(エーテル)の粒子に戻りかけている……

「そんな事はないさ。君には、頼もしい仲間がいるんだからね」

「ああ、そうかもしれないな……」

「謝って済むことじゃないけど、アンナの事は本当にすまない。あの娘の間違いは、不幸な出来事を起こしてしまった。けれどそれでも僕は、一つだけ信じてもいない神様に感謝しよう。成長した息子の結婚した姿を見れるなんて思っても見なかった」

 そう言って、俺と凛を交互に見る切嗣の頬に涙が一筋ながれる。
 その体は、もう胸のところまで消えかけている……

「それからセイバー。聖杯戦争での全てを君に詫びたい。僕は、間違ってばかりいた。それなのに……今まで、士郎を護ってくれたこと……ありがとう……」

「キリツグ……」

 それは恐らく十二年前のマスターとサーヴァントが初めて、心を通わせた瞬間。

「それにしても……綺麗な、奥さんだね。ほんとに、綺麗だよ」

「ああ、俺にはもったいないくらいさ……」

「お義父様……」

 もう、時間はほとんど無い……

「ああ、そろそろお別れだね。最後に一つだけ……どうか、君たちが……幸せで……あり……ます……よう……に」

 そんな祈りの詞を口にしながら、切嗣は光の粒子となって消えていった。
 ふと、空を見上げる……
 こんなに良い天気なのに、雨が振ってきたみたいだ。
 俺の頬が濡れているのは、きっとそのせいなんだろう……

『――うん。はじめに言っておくとね、僕は魔法使いなのだ』

 ああ、切嗣はほんとに魔法使いだったんだろうな。
 だって、俺に衛宮士郎って名前を与えてくれて、その上生きる目標まで与えてくれたんだから。
 今じゃその目標も切嗣からの借り物じゃなく、俺自身の物となったけど……
 それでも変わらないぞ……俺に取って切嗣は、子供の頃に憧れた"正義の味方"だったんだって事は……
 後の事は俺に任せて、どうか安らかに……さよなら、切嗣……






Back  |  Next

ホームページ テンプレート フリー

Design by