Fate / in the world
020 「円卓の騎士」 後編
「なあ、凛。ラーンスロット卿がいないって可能性は無いのかな?」
「う〜ん、リージェントパークの一件で、倒しちゃったっていう可能性は無いとは言えないけど……でもね、あれが"偽臣の書"だったとしたら、確実に今でも現界してるわよ」
「そっか」
シロウと凛のやり取りを聞きながら車窓を流れていく雪景色を眺める。
ロヴァニエミのホテルから、ミカエル氏の運転するランドビークルへと乗り込み、私達はエーデルフェルト本邸へと向かっている。
「シロウ、一つお願いがあります」
後部座席の中央に座っているシロウに向き直り、これから予想される戦闘での重要な注意事項を伝えるべく話しかけた。
「ん? どうした、アルトリア?」
「私も凛の意見に同意します、サー・ラーンスロットは必ずいる。そして、第一に私を狙ってくるでしょう。その際、できればシロウは静観していて欲しいのです」
「それは……騎士としての一騎打ちを邪魔するなって事なのか?」
「いえ、そうではありません。もちろん、騎士としての矜持は大切ですが、今回事を仕損じればその危機は我々だけに留まるものではなくなります。今が騎士の矜持云々を語って良い情況でないことは私とて理解していますので。私がシロウに静観していただきたい理由は、サー・ラーンスロットの持つ宝具にあるのです」
第四次聖杯戦争時、アーチャーとして召喚されたギルガメッシュと戦ったサー・ラーンスロットの相性のよさ。
これがそのままシロウにも当てはまってしまう。
「わからないな……どういうことなんだ? アルトリア?」
「第四次聖杯戦争でサー・ラーンスロットは、あのギルガメッシュとも対戦しました。その対戦において、ギルガメッシュは彼が所有する圧倒的な量の宝具を射出してサー・ラーンスロットを攻撃したのですが……」
「……どうなったんだ?」
「サー・ラーンスロットは自らに向かって射出された宝具を片っ端から手に取り、自身の宝具である"
シロウの戦闘能力が、人間の枠を抜けている事は私も理解していますが、何事にも相性というものが存在する。
今回、シロウがサー・ラーンスロットに挑めば、第四次聖杯戦争のギルメガメッシュと同じ轍を踏む事になるでしょう。
「そっか……でもな、アルトリア。たぶん大丈夫だぞ、俺の場合は。まあ、俺は戦いなんてできればしたくはないし、話し合いで事が収まればそれに越した事はないって思ってるんだけどさ。でも今回ラーンスロット卿にだけは、どうしても挑まなきゃいけない理由があるんだ。だから、奴がいたら俺は迷わず戦うぞ」
これほど、好戦的なシロウは珍しい……というか初めてではないでしょうか?
それに、シロウのこの自信はいったい……
そう思っていると、助手席に座っているルヴィアゼリッタから声がかかった。
「見えてまいりましたわ。あれがエーデルフェルト本邸です」
その声に私達の視線が前方の屋敷へと向けられる。
一瞬にして、車内の空気が緊張で張り詰めたものへと変わっていく。
と、急に車が停車した。
「お嬢様、皆様、差し出がましい事とは承知しておりますが、少々気負いが勝ち過ぎておられるご様子とお見受けいたします。何事におきましても"過ぎたるは、及ばざるが如し"と申します。ここは一先ず、これでお気持ちを整えられる方がよろしいかと」
そう言うなり、ミカエル氏は何処から取り出したのか、魔法瓶とティーカップを車の簡易テーブルへと並べ、見事な手際で私たちに薫り高いハーブティーを供してくれた。
「ミカエル、やはり貴方に勝る執事はいないと確信いたしましたわ」
ハーブティーを一口含みながらルヴィアゼリッタが自身の従者を労う。
「勿体無いお言葉でございます、お嬢様」
しかし、これは本当に美味しいですね。
しかも、このタイミングで用意されているなど、まさに完璧です。
「ミカエル殿のお心遣いに感謝を」
「ありがとうございます、ペンドラゴン様。ですが、エーデルフェルト家の執事たるもの、これしきの気遣いが出来なくては務まりますまい」
不敵に笑みを零しながら、そう言い放ったミカエル氏。
むぅ〜、このタイミングでその台詞とは、出来ますね……
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【円卓の騎士 後編】 -- 蒼き王の理想郷 --
ミカエル氏の心尽くしのおかげか、良い具合に肩の力が抜けた私達は、車を降り眼前にそびえるエーデルフェルト本邸へと歩を進めた。
昨夜のうちに、ルヴィアゼリッタとの簡易パスを繋ぎ直した私は、現在望み得る最高の状態でこの場へと向かう事ができた。
私とシロウを先頭に凛とルヴィアゼリッタが後に続く。
そして、立派な正面の門を潜った瞬間……氷のような殺気を叩きつけられた。
門から本館までは距離にしておよそ二百メートル。
その本館の入口に、漆黒のフルプレートメイルを纏ったサー・ランスロットが立っている。
「やっぱり居たわね、ラーンスロット卿」
「はい、彼一人のようですが……」
ここから見た限りでは、ルヴィアゼリッタの妹らしき姿も、慎二の姿も見受けられない。
「恐らく、クリスティーは地下工房だと思いますわ」
なるほど、矢面には立たず事を成そうとする。
本来魔術師とは、かくあるべきなのでしょう。
シロウや凛が例外中の例外なのでしょうね。
「それじゃ、行くぞ」
シロウの言葉で私達は本館入口への道を進み始める。
サー・ラーンスロットも私達へと向けて歩を進めだした。
広大な敷地を有するエーデルフェルトの屋敷は、この正面の庭だけでもかなりの広さを有している。
そのほぼ中央の場所で、私達とサー・ラーンスロットは対峙し歩みを止めた。
「やはり現界していたのですね、サー・ラーンスロット」
倫敦で合間見えた時と同じく、漆黒のフルプレートメイルに身を包んだかの騎士は、その兜を付けておらず、本来ならば端正な顔を憎悪で歪ませていた。
「王よ、臆せず参られた事だけは敬意を表しましょう。ですが、ここまでです。我がマスターの姉君以外は、全員ここで死んでいただく!」
「ッ?! やはりクリスティーが貴方のマスターなのですか……」
ルヴィアゼリッタの驚きと諦めの入り混じった声が聞こえてくる。
「ラーンスロット卿、一つ答えてもらえないかしら? この屋敷に海草みたいな変な髪形をした東洋人の男が囚われていると思うんだけど、あなた知らないかしら?」
凛が慎二の存在を確かめる。
「その男ならば、我がマスターが捕らえている。もっとも、ここで殺される貴女方には救い出す事など叶わぬであろうが」
「それはお前が決める事じゃないさ、ラーンスロット卿。俺はどんな事をしてでも慎二を救ってみせる」
シロウのその言葉に、初めてサー・ラーンスロットが視線を動かした。
「貴公はあの時の弓使いか……」
「俺は弓使いじゃない、シロウ・エミヤ。半人前の魔術使いだ。普段ならここを通してくれないかって頼むところなんだけどな……お前だけは許せない。お前が円卓の騎士最強だっていうのなら、俺はその悉くを叩き伏せて、アルトリアの前に平伏させてやる。――
サー・ラーンスロットへの激しい言葉と共にシロウが干将・莫耶をその手に投影した。
いったい、どうしたというのですか、シロウ?
貴方が戦いにおいて、これほどまでに怒りを顕わにするなど今までになかった事だ。
「ちょっと、士郎? どうしちゃったのよ?」
「シェロ、冷静になって下さい」
凛もルヴィアゼリッタも私同様にシロウのいつもと異なる雰囲気に当惑している。
「心配はいらないさ、俺は冷静だぞ。凛とルヴィアさんは下がっててくれないか」
怒りに、我を忘れているというわけでもなさそうですね……
「ほぅ、弓ではなく今回は二刀を使うのか」
シロウの干将・莫耶を目にしたサー・ラーンスロットがそう言い放つと同時に、彼が手にしていた槍と剣が漆黒に染まっていく。
何の変哲もない槍と剣を"
私が聖剣を構え、シロウの前へと出ようとしたその時、
「アルトリア、今回は俺が最前衛を務める」
シロウがとんでもないことを言い出した。
「なっ! 何を言うのですか、シロウ! 人である貴方がサーヴァントに適うはずなど」
「ああ、そうだな。俺の剣じゃラーンスロット卿には勝てないだろう。それでも俺は前に出る。決して引かずに前に出て、奴の剣を防ぐ事だけに専念するからさ、奴を倒す事はアルトリアに任せるよ」
それは、どれほどの信頼がこめられた言葉だったのだろう。
ならば、私も彼の信頼に応えなければならないではないか。
「わかりました、シロウ。必ずや、ラーンスロットを倒して見せます。ですから、シロウ。貴方も絶対に死なないで下さい」
「ああ、もちろんだ、アルトリア。――
そう言ってシロウは、紅い外套を投影しながら力強い瞳で応えてくれた。
「エミヤと言ったな、準備は済んだか?」
凍えるよなこのラップランドの大気よりもなお冷たい響きでラーンスロットが問いかけてくる。
「待たせたな、湖の騎士。それじゃあ――行くぞっ!!」
シロウの言葉を合図に、戦いの火蓋が切って落とされた。
刹那の時間だけタイミングをずらした私とシロウの疾走に、ラーンスロットの槍が稲妻の如く突き入れられる。
咄嗟にシロウが右へ、私が左へと反転し、同時の横薙ぎに一閃を叩き込んだ。
――ガキンッ!
一面の雪景色に響き渡る、同時二連撃の剣戟音。
シロウの干将を左手の剣で、私の聖剣を右手の槍で受け止めたラーンスロットは、即座に切り返し、バックステップで距離を取る。
だが、そのバックステップに等しい速さの飛込みでシロウがラーンスロットの懐へと飛び込んでいく。
――キーンッ!
再度響く剣戟の音は、シロウとラーンスロットがお互いの武器をぶつけ合ったもの。
ならばっ!
「ハァァァッ!!」
シロウの干将・莫耶にその武器を押さえ込まれたラーンスロットの頭部目掛けて、聖剣の一撃を叩き込む。
その瞬間、ラーンスロットの右手がぶれるほどの速さで動き、シロウの干将を押さえ込んだまま、半回転した槍の石突が私の剣戟を食い止めた。
「クッ!」
お互いに間合いを取るべく、バックステップを行う間際、更に半回転した槍の穂先がシロウの頬を掠めた。
「シロウ!」
「心配ない、掠っただけだ」
そう言い放ち、頬を拭うシロウ。
「なるほど、王が気に入るのも解かる。中々に良い使い手だ。だが……才が無いな。いかに鍛錬しようと貴公の剣には才が無いのだ」
「お前に言われなくても、自分が一番わかってるさ。でもな、才能のある奴が常に勝つなんて法は無いんだ。それに、何度も言うが俺は魔術使いだ、剣士じゃない! ――
「貴公何を?」
「――
言葉と共にラーンスロットへと突進するシロウ。
って、その突進癖を直せと言うのです、貴方はっ!
一直線に突進するシロウを援護する形で、ラーンスロットの右側から間合いを詰める。
「余りにも愚直だな」
そう言いながら、余裕を持ってラーンスロットがシロウの切り込みを捌こうとしたその時。
「そうでもないさ――
急停止、反転しながらのシロウの詠唱と同時に、ラーンスロットの周囲を取り囲むように出現した剣群が一斉に射出される!
「良い手だ、だが私には下策だなっ!」
ラーンスロットの言葉の通り、あれでは武器を与える事になってしまう。
それはシロウも承知していた筈……という事はっ!
シロウの意図に気付き、急制動を掛け、私は急いでラーンスロットから間合いを取った。
射出された剣を"
同時に聞こえるシロウの詠唱。
「俺は英雄王とは違うぞ! ――"
剣の連鎖崩壊から大爆発を起こした余波で、一瞬視界が遮られる。
並みのサーヴァントならばかなりのダメージを与えるほど、凄まじい爆発だ。
「……貴公の言うとおり、確かにこれは剣士には出来ぬ戦い方よ」
爆風が収まると共に、両腕に深手を負ったラーンスロットの姿が現れる。
だが、見る間にその傷が癒され、破損した鎧すら元通りに修復される。
「だが私は大義によって動いているのでな。ここで貴公に負けるわけには行かぬ! 我ら円卓の騎士を裏切った王の大罪をこの手で捌くまではなっ!!」
咆哮と共に抜き放った"
――ガキーンッ!
まさか! 私ですらギリギリ反応できるかどうかというほどの一閃を、シロウは正面から干将・莫耶の二刀をもって受け止めた。
「お前に……お前にそれを言う資格は無いっ!!」
交差させた、干将・莫耶を斜に切り下げ、"
瞬間、引き手すら見せぬほどのラーンスロットの連撃を、その二刀をもって悉く打ち返すシロウ。
「貴公に何が解かると言うのだっ!」
「ああ、解からないさっ! お前ほどの男達が集まっていながら、どうして誰一人アルトリアの事を考えてやれなかったんだっ!!」
――ガキーンッ!
凄まじい剣戟音とあいまって、ぶつかり合うシロウとラーンスロットの言葉。
「王の事をだと?!」
「一人の少女が自分の幸せを全部投げ捨て、国のために頑張ったんじゃないかっ!! それを、お前たちは何で支えてやれなかったんだっ! その人生が誇れるものなんだって事を、どうして誰も言ってやれなかったんだっ! 俺は、それが許せないんだっ!!」
シロウ……貴方は……
「クッ! 貴公……」
「アルトリアがお前たちを裏切っただと?! ふざけるなっ!! 俺に言わせりゃ、裏切ったのはお前達の方だっ!!」
――キーンッ!
乾坤一擲、シロウの一閃にラーンスロットは後退り、莫耶は耐え切れず砕け散った。
そして睨み合う、シロウとラーンスロットに私は……
「……確かにな、貴公の言う通り、王を裏切ったのは私のほうだ。もはやこの思いは、八つ当たり以外の何物でもないのかもしれん。だがな……王は聖杯に望みを託すと約束されたはずだ。誰も救われぬあの結末を、聖杯を持ってやり直すと誓われた筈ではないのかっ!」
再度振るわれた"
そしてラーンスロットのニの太刀がシロウを狙う。
「シロウッ!」
――ガキンッ!
ギリギリ二人の間に割り込み、聖剣で"
「王よ、貴女はあの救いのない結末を見過ごすおつもりかっ!」
クッ……鍔迫り合いも長くは持たない。
このまま押し込まれては……
「……させない……そんな事は、この俺がさせないぞ」
左半身を流血に染めながらシロウが立ち上がる。
「シ、シロウ! その傷で動いてはいけない!」
「貴公、その体でまだ動けるのか……」
「アルトリアに、そんなばかげた事はさせないぞ! アルトリアは誰よりも頑張って国を護ったんだ、例えその結末が報われないものだったとしても、アルトリアの人生が誇れるものだった事に間違いなんてないんだっ!! ――
絶叫と共にその手に作り出した、干将・莫耶で切りかかるシロウ。
ラーンスロットはバックステップで間合いを外す。
シロウ……私は、私の人生を誇って良いのですか? あの結末を迎えた私でも、精一杯やったのだと誇って良いのですか?
「信じられん……その傷で立ち上がり、攻撃するなどと……こんな神秘の薄い時代に生まれていなければ、貴公なら立派な騎士となったであろうに……」
驚愕の面持ちで、シロウを見つめるラーンスロット。
「なんだ、そんなに神秘が見たいのか? だったら見せてやるぞ、取って置きの奴をな」
そう言いながら、シロウが凛へと振り返る。
「良いわよ、あんたの気の済むようにやりなさい、士郎!」
凛の答えに頷くシロウ。
「ラーンスロット卿、そろそろ終りにしよう。俺たちには時間もないし、この後やらなきゃいけない事だってあるんだ。アルトリアの事は俺に任せて、お前は安心して座に帰れ!」
そして紡がれる、禁断の詠唱……
――
「クッ! そこまで吠えるのならば見せてみよ! 貴公の力をっ!」
ラーンスロットの一撃がシロウへと向かうのを横合いから体ごと聖剣をぶつけて、強引に割り込んだ。
――
私は、大きな過ちを犯すところだったのですね、シロウ?
勢いを止めずに、そのままラーンスロットへ切り込む。
――
ようやく、アーチャーの言った私の過ちが理解できた。
"
――
その結果はどうであれ、私は国を護ったのだ。
お互いに間合いを離し、踏み込む瞬間を見極める。
――
そして、遥かな時が流れた今も、私の思いを継いでくれる人がいる。
張り詰める空気の中、同時にお互いの間合いへと飛び込む。
――
シロウ、私の理想郷はこんなにも……こんなにも近くにあったのですね。
私の渾身の一撃は、"
――
聖剣を失った私に"
だが……
――
シロウ、貴方を護ることが出来ました。
――
その瞬間、シロウを中心に弧を描いて炎が奔り、世界が紅い剣の丘へと塗り替えられる。
果てしなく続く紅い丘には、ただ墓標のように剣が突き立っている。
その光景に、無手となった私を突き殺さんとしていたラーンスロットまでもが、呆然となっている。
「人の身で
「そんな……シェロの本当の力が、
その中で、剣の丘の主たるシロウがラーンスロットに一言呟くように発した。
「行くぞ、湖の騎士……神秘の蓄えは十分か?」
そのシロウの言葉と共に、無限の剣が一斉にラーンスロット目掛けて撃ち出される。
「クッ! 数で私を圧倒する事はできんぞ!!」
全身に傷を負いながらも、神技の剣技で無限の剣戟を捌くラーンスロット。
「勘違いするなよ、お前を倒すのは俺じゃない! アルトリア、俺はお前を信じてる。だから、お前を信じる俺を信じろっ! その手に勝利を掴め! アルトリア!!」
勝利を、私の手に?!
シロウの言葉に私は、無意識のうちに胸元のネックレスをこの手に掴んでいた。
「サー・ラーンスロット、貴公の言う通り私はもはや王ではない。アーサーという王はあのカムランの丘で自らの人生に誇りを抱き死んだのだ。だから、今の私は何者でもない、ただのアルトリア・S・ペンドランゴン、シロウを愛する一人の乙女だ! さらばラーンスロット! "
真名の開放とともに、シロウに贈られたネックレスから撃ち出された小さな光の剣閃は、ラーンスロットの胸を貫き、フィンランドの空へと消えていった。
シロウが
そして、私の目の前には"
「そうか、王は……いや、アルトリア殿は一人の乙女として、理想を追われるのか……」
もはや、エーテルで構成されたその体の維持をすることは出来ないだろう。
体が次第にエーテルの粒子へと戻っていくのに、そう時間はかかりはしない。
「サー・ラーンスロット、私は共に歩むべき人とこれからもその理想を目指していく。だが、最後に一つだけ……あの時、私も貴方もギネヴィアも皆が少しずつ間違ったと思う。その事を貴方に謝りたい……ごめん、なさい……」
「是非もない……エミヤ殿、アルトリア殿のこと、よろしく頼みます。アルトリア殿の御身に栄光あれ」
「ラーンスロット卿……」
「さあ、急がれよ。我がマスターの過ちを止めていただきたい」
「ああ、任された」
そして、私達はエーデルフェルト本館へと突入した。
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